「ごめんなさいっごめんなさいっごめんなさーい!!!!」
完敗の比呂は両手を机について、謝っている。
本っ当に栞は、見た目はギャルなのに中身はしっかりとした人なんだとつくづく思った。
「で?琢也くんのアド、しっかり交換したよね?」
「も、もちろんでございますっ」
これは中学から長年築いてきた、お互いのテレパシーなのか。
比呂は栞が何も言わないうちに、自分の携帯を取り出し、琢也らしき電話帳の画面を差し出した。
栞は、うん、と1つ頷き自身の携帯を手に琢也のアドレス、番号をしっかり受け取ったのだ。
「さすが比呂っ!」
すっかり上機嫌になった栞はすぐさま携帯をいじいじ。
きっと琢也だな……。
顔のニヤけぐあいから判断できる。
「あ、そういや俺と心結ちゃんって、番号交換してたっけ?」
ポケットにしまおうとした携帯を再び取り出し、今度はあたしに携帯を向けた比呂。
………そういわれてみたら、してないかも。
あたしもみんなのように携帯を取り出し、電話帳に比呂の名前がないか確認する。
「うん。してないみたい」
「じゃ、やっとく?」
「うん。いいよ」
そういうことで、あたしは比呂の番号をゲット。
赤外線で受信を確認。
するけど………
「あれ?………これ」
「一応あげる。」
「一応?」
「俺の気まぐれでね」
受信確認画面には
“佐藤 琢也”
の文字が映し出されていた。

