和やかな雑談をお腹いっぱい堪能したあと、ルンルン気分のあたしは教室に戻った。
もちろん輝くんとは一緒に戻ってはいない。
ていうか、あたしは一緒がよかったんだけど、輝くんが
「それは無理」
っていうから……。
でもそんなことじゃめげない。
さっきの楽しかった会話を思い出して、上機嫌のまま教室の扉を開けた。
「おっ！心結ちゃーん！お昼、どうだったー？」
「ひ、比呂っ！」
入るなり、あたしを目にした比呂が、座ったまままわりを気にせず大声でそう叫んできた。
扉が比呂の席から遠いからなのかもしれないけど、その声はすごい目立つ。
教室にいたクラスの人たちが、興味混じりにこちらへ視線を投げ掛けるのが、少し恥ずかしかった。
「ちょっと、声大きいからっ！」
「なんでー。別いいじゃん」
「もうっ！」
「で、輝と楽しくやってきた？」
「もちろんっ！ありがとう比呂ー！」
大声が恥ずかしいって怒った直後なのに、輝くんのことになるとあたしは気分を良くした。
ありがとうと言わずにはいられないほど、比呂に感謝したし、すごい一時だったから。
「わぁー、かなりニヤニヤしてんじゃん」
「ニヤニヤとかしーてーなーい。むふふ♪」
「………分かりやすッ」
「分かりやすくないっ！」
「なぁ比呂、この子、輝と仲いいんか？」
……………………ん？
比呂の隣から見知らぬ声がした。
