うーわっ
思わず口が滑るところだった。
危ない危ない、とあたしは口元を押さえて、1人安堵の息をついた。
「………何だよ?」
「えっ!あ、な、なんでもないっなんでもないっ!」
「……」
「ま、間違えたの!輝くん違うクラスなのに、次の授業なにかなって聞こうとしちゃって……」
「なんだ。バカだな、當間も」
「は、はははは…」
疑いの目で見る輝くんに即座に誤魔化しをいれることができたあたし。
我ながら素早い頭の回転だったなあ、って………
…………─────。
いいいいいいいいいいまっ!
また當間っていったよねっ!
ととととととととーまって
名字だけど、呼んだよねっ!?
奇跡としか言いようなくないですか?
「また見すぎ」
「ふふふーん♪」
「にやけ過ぎ」
「へへっ♪」
「なんだお前」
口角の角度が上がりっぱなしで、あたしの口元をおかしくなっちゃうよー。
けど、輝くんがあたしにいちいち突っ込んでくれるものだから。
「うふふ♪」
「不気味すぎ」
変な笑い方しちゃう。
かまってくれることが嬉しくて、絡んでくれることが嬉しくて。
また、ついつい
「輝くん、だーいす────っ!!」
「あ?」
「いやっ、明日の授業なんだっけなあって………」
「知るかっ!」

