購買のパンにかぶりつく輝くん。
前髪を自由になびかせる輝くん。
片膝立てて座っている輝くん。
言葉を交わすたびに毎回目を合わせてくれる輝くん。
欠伸をする輝くん。
あたしの目に映った輝くん全てが、魅力的で見応えがあって。
お弁当を食べるあたしの手が、時たま止まってしまうこともしばしば。
「見すぎなんだよ」
乱暴な言葉でそういう輝くんだけど、それさえもあたしには胸を打つ刺激に変わっている。
広い屋上の片隅であたしと輝くんの2人きりだなんて考える。
それだけであたしは宙に浮きそうな気分になって、食べるペースも遅くなっていた。
目が合うだけで胸がきゅんっとなるし、床に付いていた手が不意に触れた瞬間、びくっとしちゃうし。
もうこれは本物の恋としか言いようがない。
一目惚れはその場限りとかいうけど、あたしのはそんなものと一緒にしちゃだめっ!
こんなに見るだけで酔い痴れる人は、輝くんの他に会ったことがないんだから。
「輝くん」
「あ?」
「あたし、めーっちゃ輝くんのこ………」
─────はっ!!
とした。
そうだった。
輝くんにもう告白しちゃいけなかったんだ。

