────ガチャ
扉を開けるなり、その部屋の広さに驚いた。
まず、玄関が広い。
靴箱が2段ついていて、全身を映すことができる鏡まで付いている。
靴を脱いで、なぜか並べた。
なんで並べたんだろう……。
自分でも分かんない。
奥に進むと、リビングなのか薄くておっきい液晶テレビが1台。
4人ほどが座れる、白いソファー。
キッチンは、玄関から入ってすぐ左にあり、リビングとつながっていた。
窓は案外小さくて、エアコンの下にちょこんとあるだけだった。
想像していたのと、全然違う。
家のキッチンとかリビングとかとは比べものにならない。
「すっごーい……」
開いた口が塞がらないとは、まさにこのことだと、生きていて15年目にやっと実感。
こんないい家具がある寮なんて、そうそうないよね。
机もガラス張りでなんかオシャレ。
文句のつけどころがない部屋だった。
「あれ?荷物……」
荷物が見当たらないことに気付き、キョロキョロ首を動かすと、リビングとキッチンの境に沿うように1つの扉が在った。
もう1つ部屋があるみたい。
そこに荷物があるのかな?
手に持っていた、鞄を床に置いて、その扉に吸い込まれるように近づいた。
ドアノブに手をかけ、わくわくしながら扉を開くと、これまた広い部屋。
こっちの部屋には家具らしきものは何1つなくて、そのかわりにあたしの届いた荷物が、山積みになって積まれていた。

