ダメだ………。
栞とは、うまが合いすぎる。
こちらで盛り上がってる中、ふと羽奈ちゃんの様子を伺う。
栞の向こう側を覗き込むと
「ねぇ、栞。羽奈ちゃん…」
「あ…。寝てるね」
すやすやと、可愛らしい寝顔をさらして眠りについている。
くるんとした毛先が顔に触れて、なんとも可愛い。
あぁー!
羽奈ちゃん、可愛いーよー!
あたしたちは、そんな可愛い羽奈ちゃんを起こさないように、しばらくの間、口を閉じて周りの風景を目に焼き付けた。
っていっても、降りるのはすぐそこの駅。
嫌でも、無理やり羽奈ちゃんを起こさなければならなかった。
「は、羽奈ちゃーん……」
「……ん」
「つきましたよー…」
案外寝起きのよい羽奈ちゃんに助けられ、あたしたちは真っ直ぐ寮に向かった。

