羽奈ちゃんと撮ったこのプリを、彼もまじまじと見たのだろうか。
いや。
見たに決まってる。
あたしのこの女を捨てたような笑顔を。
まだ、黒髪でメイクもしていない幼かった自分を。
見たんだ……。
顔中が一気に熱を帯びる。
単純に恥ずかしかった。
「もう、いろいろ落としたりすんなよ」
しばらくして、口を開いた彼は、予想外にもそんなことを言い出した。
これにはあたしも、思わず顔を上げてしまう。
もう、いっちゃうの?
見知らぬあたしに何分も相手するようなことはしないと思ってはいたから、すぐ会話は途絶えると分かっていた。
だけど、あんまり早くない?
「じゃ」
もうちょっと話したりしたい。
あたしの顔、覚えてほしい。
仲良くなりたい。
背を向ける彼に、強くそう願う。
心の中で唱えるだけで、何も出来ない自分がいるのも確かだけど、今回だけは粘りたい。
彼だけは、自分を変えて当たっていきたい。
瞬時にそう考えてた、その時───
「心結っ!當間心結ー!」
彼の腕をつかんで、自分の名を叫んでいた。

