爽やかな風が気持ちいい。





「わぁー。おっきい…」






電車で1時間かけてやっとたどり着いた、あたしの青春ライフのステージ。


立派な門構えをした洋風な校舎。

敷地がすごく広くて驚く。





そんな純心学園。

ぞろぞろとあたしと同い年と思われる純心生が校門をくぐっている。


1つ息を吸い込んで、あたしもその群がりに続いて校舎に足を踏み入れた。






「みぃーゆうー!」






玄関らしきところから大声であたしの名が呼ばれた。


その方向に目を向けると、勢い良くこちらに走ってくる1人の女の子の姿。





「遅いよ!何分待ったと思ってんの」





この威勢のいい元気な子、羽奈(はな)ちゃんは、頬を膨らませながらあたしを責めた。





「ごめん、ごめん。駅からここまでの道がよく分かんなくて…」





羽奈ちゃんの気分をなだめるように、言葉を選びながら口を開く。


けど羽奈ちゃんは未だにあたしの背中をたたいて、ドジと喝を入れていた。