「ねぇ、おい」
反応しないあたしを不審に思ったのか、次は強めの口調でこちらに返答を求める。
「は、ははははははははいいい!」
舌がうまく回らない。
振り替えるとそこにはやっぱり王子がいた。
なんだか、さっきに比べてより一層キラキラして見える。
見上げた彼の表情は、本当に女々しい面持ちだった。
本気で男?
と聞きたくなる。
「これも、あんたのだよね?」
そう言って、1枚の白い何かをこちらに差し出す。
首を傾げて受け取ると、それは羽奈ちゃんと写ったプリクラ。
卒業記念で撮ったものだった。
「あんたって、いつもよくこんな物落とすの?」
偉そうな態度でそう聞く彼に、未だドキドキと胸が鳴り響いている。
プリに視線が張りついて、彼の方に目を移すことが出来ない。
「い、ええ…。そんなことないんだけど……」
こんな短い返事もままならない程で。
何を考えているのかさえ、自分でもよく分からなくなっていた。

