あたしも渋々、教室の中へ入る。
教室にいる席に着いている人は、黒板に書いていた座席どおりに着席している。
あたしも自分のを確認してから席に着いた。
ちなみに、あたしの席はすごく微妙。
窓際から2列目の、後ろから2番目の席。
中途半端だけど1番前じゃなくてよかった。
と心の中では安堵の息を漏らす。
「あのー」
びくっ
突然後ろから手が伸びてきて、あたしの肩を軽く叩く。
肩が上下し、あたしは慌てて振り返った。
「は、はい…?」
「初めましてー。どこの人?」
どこの人………─?
質問があまりにもおおざっぱなものだったから、一瞬答えに焦った。
「…南、第三です」
「うそ!私、西中なんだ」
気さくに話し掛けてきた女の子。
南第三の名前に軽く反応を示している。
「私、栞(しおり)って言うの。南第三に友達いるんだあ」
「え、本当?」
「羽奈。羽根に奈良の奈って書くんだけど……」
夢かと思った。
ここに羽奈ちゃんを知る人がいたなんて…。
知ってる?と首を傾げた彼女に
「あたし、羽奈ちゃんと一緒に純心きたの!」
と、満面の笑みで応える。
嬉しくて、嬉しくて、天に昇りそうな気持ちになった。
「うっそー?偶然だね。羽奈と友達なんだ。えーとっ…名前なんていうの?」
「あ、心結。心を結ぶって書いて、みゆう」
「みゆう…か。心結って呼ぶね。私は、栞でいいから」
友達第1号
できちゃいました。

