文化祭も終わり、残る行事は受験と卒業式だけになった頃、

津田じいは入院した。

原因?
確か癌(がん)。詳しいことはわからない。

私は一度も見舞いに行かなかった。


『今日津田じーちゃんとこのお見舞い行ってきたんだよ。』

『…ふーん。どうだった‥?』


母の話しでは前までとは別人というくらい変わり果てた姿だったらしい。

『抗がん剤の副作用か、食欲なんかもあまりないみたいで…今日は眠ってたけど、かなり痩せた気がしたよ。』


食欲のない津田じいなんて想像もできなかった。

『あんたもお見舞い行ってあげなさい?きっと喜ぶから。』


『…うん。また今度ね。』


“今度”程遠い約束などないと、思っていた自分が使う“今度”もまた果たされない約束になってしまった。


勉強が忙しくて…

病魔と闘う津田じいに、会ってショックを受けるのが怖かった。


なんて言い訳にしか聞こえないよね。

津田じいが昔通った県立高校に合格して、そしたら会いに行こう。なんて思ってたんだ。