月に問う

「そんな事があったんだ…。それで、美月ﾁｬﾝ本人には聞いたのか？」




その言葉に無言で頭を左右に振った。




「はぁ？なんで聞かねぇんだよ！櫂斗ｻﾝの言葉だけを鵜呑みにしたって事かよ？何やってんだよ！」




慧心は溜息をつき呆れ顔で俺を見て、また言葉を続けた。




「もしさぁ、櫂斗ｻﾝが言った事が真実じゃなかったら…お前どうすんの？」


『えっ？』




真実じゃなかったら？




そんな事考えもしなかった…




櫂斗ｻﾝに言われた言葉にショックを受け、何も考えられなかった…




俺ってバカだ…




美月ﾁｬﾝ本人に真実を聞かずに櫂斗ｻﾝの言葉だけを鵜呑みにしていた。




情けねぇ…




以前の俺だったら、何を言われても気にも止めずにいたはず。




なのに…




今の俺は言われた事を真に受けてしまっている。




こんなに弱い奴だったっけ？




「なぁ？美月ﾁｬﾝに会って、ホントの事聞いてみろよ！ついでに自分の想いもぶつけてみろよ！」


『でもさ…』


「でもさじゃねぇじゃん！今でも好きなんだろ？諦められないんだろ？」




その言葉にズキッと胸が痛み、そして静かに頷いた。