記憶のカケラ


「け、罫〜…っ」

「バカかお前。立てねぇなら早く言えよ…」

「だって……」

「…まぁ、葵も前よりは背ぇ伸びたほうだし、今調度、成長期だから余計痛いんじゃないの?」

成長期……なのかな。
だから痛いとは限らなくない?

下を向いて黙っていると、罫は背中を向けてしゃがんだ。

「おんぶする。早く乗れ」

言い方が素っ気ないよ……罫。
そう思いつつ、私は歩けないために、仕方なくおぶってもらうことにした。

なんか…、これまた久しぶりに人に触れた気がする……。
病院から出て、夏の日差しが暑いのにもかかわらず、私は罫にしっかりとくっついていた。

「葵…、暑いよ」

「あ、ごめんねっ」

「別にいいけどさ……。あんま俺にくっつくなよ」

「え?なんで?」

「……なんでもっ」

「…もぉ、罫ってば少しは大人になったかと思えば、話し方は素っ気ないし……。そんなじゃ前と変わんないよ〜?」

「お前に言われたくないね」

ムッ。それって、頭はまだ小3ってこと!?
まぁ、そうかもだけどっ…。

「……罫の変わったとこってないの?」

「…誰かさんのお陰で涙脆くなりました〜」

それってさ、つまり…。

「病室で泣いていたのが証拠ですか〜?」

「ばっバカッ!…やっぱり目ぇ合ってたかぁ……」

そう言ってガクッとする罫。
もしかして……ちょっと照れてるのかな?