記憶のカケラ


「じゃあ、私もいただきます」

「はいはぃ♪まだいっぱいあるから、好きなだけ食べてちょうだいね。お腹壊さない程度にねぇ」

「はぁい♪」

お母さんが再びひまわりの水やりに戻ろうとした時だった。
私は、ふと思ったことをお母さんに問い掛けた。

「そういえば、今日って何曜日?」

「え〜…?確か日曜日よぉ」

「日曜日ってことは……。お父さんはぁ?」

その一言で、お母さんを困らせることになるなんて……。

私がそれを理解するには、時間がかかることになる。

「えぇ…?っと……お父さんは今、お仕事の都合で出張中だけどっ……」

お母さんの声が裏返ったのにも気付かず、私は話しを続けた。

「この暑い日に出張かぁ……」

「葵のお父さんも大変ね?」

どうやら唯花も気付かなかったようで、お母さんは小さく溜め息をおとした。