記憶のカケラ


「……葵。唯ちゃんも、家の中へ入りましょ?すぐお茶を入れるわ」

お母さんは立ち上がり、目を拭って、水が零れたじょうろを持ち上げた。

私達は家の中に入り、リビングに向かった。

「お母さん、元気そうだからよかったよ……」

「そうね…。私も暫く、葵のお母さんとは会ってなかったから」

「そうなんだ…?」

「うん。中学入ってからは部活とか忙しくてさ、中々会えなかったんだよね……。ま、本当に元気そうでよかったわね」

「うんっ」

ここら辺は車が通らないから、部屋の中は静かで、風鈴の音が心地よく聞こえてくる。

「はい、お茶入れたわよ♪それから、近所のおばさんに貰ったスイカがあったから、よかったらこれも食べてね」

「スイカだぁ♪私、好きなんだよね〜」

私はスイカを手に取り、一口パクリ。
……冷たくって美味し〜い!
さすが、近所のおばさん。4つ年とっても、スイカは変わらず美味しいや……。

「葵、笑顔になりすぎだよぉ」

「だって美味しいんだも〜ん♪」

えへへ…。
幸せ〜……♪