記憶のカケラ


家の傍まで行くと、女の人が私達に気付いき、そのままジッと私を見つめた。
私達も立ち止まり、彼女を見つめかえす。

女の人はひまわりに水をあげていたみたいで、手には大きめのじょうろと、頭には白色でひらひらした大きめの帽子を被っている。

「………あぉぃ…?」

懐かしい声と共に、サワサワと風で木々が揺れている。

「ぉ母さん……?」

そう聞くと、女の人は大きく目を見開き、じょうろを落とした。
それと同時に、彼女は私の傍まで来ると、優しく私を抱きしめた。

「目…覚めたのねっ……?」

「ぅん…。そぉだよ……」

「よかった……っ」

私はあの日まで、ずっとお母さんと一緒にいて、お母さんのことならなんでも知ってると思ってたけど……。
こんなに心配性だってことは、知らなかったな……。