「何も無い…ですけど…それってもしかして…」

「もしかしなくても、えみが思ってる通り♪大丈夫!いい人だからさ!!」



ふと昼間の美紗の言葉を思い出す。


『他の男子と付き合ってみたら?』


…正か!会うだけだしありえないありえない。



“パシャ パシャ”




撮影が始まった。今日は男の子のモデルさんも居るんだ…。さすが背は高いし、足は長いしイケメン揃い。


あたしはいつもの様にスタジオの隅の椅子に座って、近くにある雑誌に目を通す。

亜美先輩はメイク中。
撮影はまだみたいだからトイレでも行って来ようかな?



あたしはスタジオから出てトイレへ向かう。


“あれ?そういえばトイレって何処だっけ?”



スタジオが幾つもあるこのビルは、広くてトイレさえも分からない…。



うろうろしてると不意に声をかけられた。



「どうかしたの?」