『お疲れ様でした~』


現在、夜7:30を回ったとこ。やっと撮影終了だ。



「お疲れ、えみちゃん、明広くん」

「佑介先輩!…あれ?亜美先輩はどうしたんですか?」

「まだ撮影中。先帰ってていいってよ♪俺はまだ待ってるけどさ」
さっきからずっと待ってたんだ…。愛されてるなぁ…亜美先輩は…。

「そうなんですか~…それじゃ亜美先輩によろしく言っておいて下さい♪」

「おぅ♪それじゃ、気を付けて帰ってね」



佑介先輩に別れを告げて、スタジオを去った。


「なんだよえみ~…亜美さん見てかねぇのかよ!」

「亜美さん亜美さんって、今日は先輩の事ばっか!!彼氏居るっつったじゃん!」


あまりにも明広が亜美先輩の事ばっか言って来るからつい、怒りが露になってしまった。

「…はぁ?何お前怒ってんの?」

「別に…怒ってないし!!」

「怒ってんじゃん。まったくお前は可愛くねぇなぁ~」

そう言いながらあたしの頭をぐしゃぐしゃと手で撫で回した。

あたし犬じゃないんだけど…

「んな心配すんなって!!彼氏が居たって負けねぇしさ♪心配してくれてんだろ?俺の事」

嬉しそうに笑顔で話す明広にもう返す言葉すら無かった。


ただ明らかになったのは、明広は亜美先輩に本気で惚れているって事。
それとあんたがどれだけ鈍感かって事も。


そんなこんなで、あたしの高1の春は慌ただしく過ぎて行った。