教会の扉が開かれた。 バージンロードの向こうには、楓くんの姿が見える。 皆が笑顔でこっちを見てる。 お父さんと一歩一歩ゆっくり歩く。 お父さんから離れて、楓くんの腕に自分の腕を絡ませた時──。 私の目から涙がこぼれ落ちた。 「また泣いてる。俺、今日は飴持ってねぇぞ」 って、楓くんが小声で言った。 「キスで泣きやませて」 私も小声で、楓くんに囁いた。