先生の車の中─。
出掛ける時に、お父さんもお母さんもお兄ちゃんも…。
みーんな笑顔で見送ってくれた。
お母さんなんて「なんなら泊まってくれば?」なんて言うし。
ありえないっつーの!
「なぁ?」
「…えっ?うん?」
「着替えたいから、先に俺の家に寄るぞ」
「う…うん」
スーツ姿の先生。
そのままでもいいと思うけどな。
先生の車は、1軒のアパートの駐車場に入った。
先生、1人暮らししてるんだ~。
「一緒に来る?」
「いい!ここで待ってる」
私は、首をブンブン振った。
先生はクスッと笑うと、車を降りた。



