「あら。楓くん、彼女いないって。良かったじゃない。明日休みだし、デートしてきたら」
相変わらずニコニコ顔のお母さん。
デ!デート!?
私は飲んでいたお茶を吹き出しそうになった。
「お母さん!何言い出すのよ!デートなんて。あのね先生にだって選ぶ権利があるの。お母さんが勝手に決めたら失礼よ!」
「俺は構わねぇよ?デートしても」
先生がまた淡々と言う。
「せっ!先生まで!何言い出すのよ!もし誰かに見付かったら…」
「バレなきゃ構わねぇんじゃねぇの?」
はぁ?
それが教師の言う言葉?
「良かったわね」
「良かったな」
「良かったな。飛鳥」
良かったじゃないわよ!
「どこ行きたいか決めとけよ」
先生まで…。