と、思ったら、美弥は遼平の胸にすがっていた。


「ふざけんなよ。なんでこんなやつ連れてんだよ」


「お前とは別れるって言っただろ」


「納得しねぇって言ったじゃねぇか!」


詰め寄る美弥を、両肩は両肩を掴んで引き離した。


「俺の女はお前じゃねえ」


黙って睨みつける美弥の前に、遼平は手を出した。


「返せ」


美弥は何も言わずに目をそらした。


「返せ。合い鍵だよ」


美弥は黙ったまま上着のポケットから、ブルガリのストラップのついた鍵を取り出した。