シングルサイズのマットレスはフローリングの上に剥き出しのまま置かれている。


二人で寝ころぶには少し窮屈な布団の上で、その日あたしと遼平は色んな話をした。



遼平は、父親の愛人の子供なんだと言った。


「母ちゃんは親父の愛人でよ、俺と兄貴二人合わせて三人、親父のことはよく知らねぇ」


遼平の母親は家に帰らないことが多かった。


遼平はまるで自分ではない誰かの物語を語るように、淡々と言葉を並べていった。


「上の兄貴は中学でてから家でてな、今も自由にやってるよ。
下の兄貴はしっかりしてるな。母ちゃんがいない日もメシ作ってくれたりしてたんだよ」


遼平は中学生になった。


髪に剃り込みを入れ、ピアスをあけた。


母親とはあまり話さなかった。
家に帰らない日も増えていった。


「何話していいかわかんねぇしな」


そんな毎日は淡々と流れ、仲間と過ごす毎日が日常になっていったある日。


遼平の母親は突然消えた。