「別に。お前、家帰らなくていいの?」


そう話をそらして遼平は「まじうめぇ」とひじきを口に運んだ。


確かにひじきはびっくりするくらい美味しかった。


やたら薄味のうちの煮物よりも甘くて味が染みていて、この料理なら毎日食べたいと思ってしまったくらいだ。


「うん、帰らない。家出中」


「ふーん。いつから?」


「それは…昨日だけど」


あたしは少し恥ずかしくなる。


昨日て。


「あっそ。どこ泊まんの?」


「マン喫かなぁ…舞子んちって訳にもいかないし」


「ふーん。泊まるとこないならうち泊まってけよ」