あたしは思わず体を固くした。


そうだ。玄関にはあたしのブーツがあるはず。


「あ〜…そうだな」


「そうなんだ。ごめん!知らなくてめっちゃ叫んじゃったよ!」


「いや、せっかく来てくれたのにわりぃな。またな」


玄関の扉の閉じる音と程なく、紙袋を片手に部屋にリョウヘイが戻ってきた。


「お……おはよう」


あたしはドキドキしながら声をかけてみる。


「おぅ。
………ひじき食う?」


そう言ってリョウヘイは紙袋を差し出した。
その仕草が可笑しくて、あたしは思わず吹き出した。


「ひじき……食う」


「だろ?サトちゃんのひじきうまいんだよ。その選択正解」


紙袋からひじきの煮物の入ったタッパーをだしながらリョウヘイはばつが悪そうに頭をかいた。


「サトちゃんはしょうちゃんの彼女。サトちゃんとしょうちゃんは同棲してんだけど、うちと家近えからよく来んだよ」


そこまで話すとリョウヘイはまた頭をボリボリかいた。


そしてあたしをじっと見ると、あぐらをかいたままの体制でいきなりあたしに頭を下げた。


「わりい!許してくれ!」