早瀬はしばらくの間、黙っていた。 「そんなひどい奴と、翠は婚約しているのか」 「南大寺さんは、やさしい人だよ」 早瀬が怒っているように思えた。 だから、宥めた。 「翠・・・」 切なそうに名を呼ぶ。 「俺じゃあ、だめなのか」 告白のことだと思った。 「俺なら、翠のことを幸せにできる」 早瀬・・・。