いちえ




鈍器で思いっ切り頭部を殴られたようだった。


頭から痺れるようで、体が小刻みに震えるようだ。



「はは、りなきっつー」


「別に関係ないし〜」



笑い出してしまった2人に、私は何も言う事ができない。


数回しか会った事もなければ、会話なんてろくにした事もない。


そんな相手に、何故ここまで言われなければならないのだろう。



何も言えない私に向かって、りなさんが笑みを浮かべて口ゆっくりと開く。


次々と吐き出された言葉は、私には鋭利な刃物のようで、深く胸に突き刺さるようだ。



これ以上、何も聞きたくない。



そう思ってもその場に足がくっついてしまったように、体が動かなかった。



「ねえ、三人で遊ばない?」


「お、いいねえ」



この二人、頭おかしいんじゃないの……?



何かを企んでいるようなりなさんの言葉に、隣の男の人は軽く答える。


「私帰りますんで」



これ以上話していたくなくて、早口で言うと背を向けた。



怖い……――――。



「おい、待てよー」


「っは、離してっ」



グッと腕を掴まれ、必死に抵抗するが無意味だった。


こんなに沢山の人波の中で、誰一人異変になんて気付いてくれない。


むしろ、気付いてないふりでもしているようだった。