いちえ




「ねえ、慶兄とるぅの実家いつ行くの?」



何だか胸がグッとして、気分が沈んでしまいそうなのをかき消すように明るく声を出した。


「あーっ!!ねっ!!そうだよいつ行くいつ行く〜!?」



目をキラキラさせて、興奮気味に言う美春に、瑠衣斗はあからさまに嫌な顔をして反応した。



「電話した、いつでも来てくれていいってよ。親父もお袋も楽しみにしてる」


「…まじかぁ」



ニッコリしながら言った慶兄に対して、真逆に溜め息のように瑠衣斗は言葉を吐き出した。



そんなに嫌がる理由って何なんだろう?こき使われるって…そんなに大変な事をさせられるのかな?



「やったぁ〜♪…あ、美春と俊ちゃんは、お盆休みに行くね!!」


「体大丈夫か?」



そう言う俊ちゃんに、美春は「安定期入るから大丈夫!!新婚旅行だよっ」と明るく話す。



私も、美春の体のことが気になっていたので、その言葉によって納得しざるを得ない。



結婚式まで、俊ちゃんを思って挙げたくないと言っていたぐらいだ。


さすがに、私達で新婚旅行をさせてあげられる程、お金なんてないし、何だかやらしい。



本当に、美春は俊ちゃんを想っているんだ。



「んじゃ〜俺らは先行くかあ!!俊達は新婚旅行気分で二人で来いなぁ〜♪」



そう言う龍雅の言葉に、瑠衣斗が再び深い溜め息を吐いたのだった。