いちえ




「前に立つな、見下ろすな」


「無ー理〜」



私…るぅと約束って何したんだろう………。



ニコニコ笑って見下ろしてないで、教えてよ。



いつもはツンとしているクセにっ。


八重歯を覗かせて笑う瑠衣斗に、思わずパシッと腕を突っぱねてみた。




「んだよぉ〜?暴力反対〜」


「違うもんねっ。ただのスキンシップじゃ」



眉間に軽くシワを寄せながらも、楽しそうに笑う瑠衣斗に胸がズキンと痛む。



ちゃんと正装して、髪を整えたいつもと違う雰囲気の瑠衣斗に、間違いなく私はときめいてしまったんだ。




もしも、私が慶兄と付き合ってなかったら……どうなってた?



もしも、私が気持ちを伝えたら……るぅはどうする?



あのキスは………どんな意味が含まれていたの??



噴水の水しぶきがキラキラしてて、太陽が瑠衣斗を眩しく照らす。


笑顔がキラキラしているようで、眩しくて目を細めた。




るぅは……私の事どう思ってるの?





眩しい太陽は、昼間よりも傾いているが、まだ辺りは明るい。


日も長くなったせいで、今がだいたい何時なのかも分からない。



ずっと、みんなとこうしていたい。明日なんか来なくていいのに……。



ふと顔を上げると、ちょうど慶兄がこちらを向き、ニッコリと私に向かって微笑んだ。