いちえ




『ごめんなさい……。美春とももちゃんは、姉妹のようなモノだから……。美春が結婚する事が、何だかももちゃんまで結婚するみたいで…』



泣き笑いのように、涙を拭う美春のお母さんは、目を真っ赤に潤わせ、笑った。


『何だか長々と脱線しちゃってごめんなさいね…。美春と俊ちゃん…みんなも幸せになって下さいね。私からは以上です』



そう言ってマイクを龍雅に私た美春のお母さんは、何故か隣で号泣する美春のお父さんの肩を撫でると、ゆっくりと席に座った。


周りからの暖かい拍手に、頭をペコペコと下げ、目元にハンカチを当てた。



「ん。泣き虫」



グッと私の頬に、ハンカチをあてた瑠衣斗を気にする余裕もなく、淡々と涙を流した。



私…分かんないよ……。

今の話は…どう捉えたらいい?


グッと唇を固く噛み続けたせいで、唇がズキズキと痛む。


目の奥が痛くて、息が詰まる。


乱暴に、でも優しくハンカチで頬を拭ってくれる瑠衣斗に、更に涙は溢れ出る。



「美春ママン、なかなかやるなあ」


「さすが親子」


慶兄の言葉に同意する瑠衣斗は、クスクス笑いながらひたすら涙を拭いてくれる。



本当に…この親子にはかなわないよ。



……お父さん、お母さん……どっかで私を、弟と一緒に見てるのかな……?