いちえ





その言葉に、手元のミネラルウォーターから顔を上げると、テーブルに肘をついて2人を見下ろした、穏やかな表情の瑠衣斗の横顔が目に入る。




やっぱりるぅは…恋愛経験多いのかな…。


私ばっかが初めてばっかりみたいで、何か…ちょっと切ない。


「ねえ、るぅは…」



「…ん?」



言葉が止まってしまった私に向かって、不思議そうに瑠衣斗が顔を向ける。



私…何が言いたいんだろう。


何が聞きたいんだろう……。



「かっ…」



「………か?」



「髪の毛伸びたよね…」



「……そ…だな?」




知った所でどうするのだろう。

過去は誰にだってある。そう、私にも。


でも、何故だろう。


私の知らない瑠衣斗の過去に、私は勝手に嫉妬し始めている。


「私…欲張りだね」



「ん?欲張り…?どうした?」




思わず口をついて出た言葉に、ハッとする。


思った事が勝手に口から出てきて、無意識すぎて驚く程だ。



「や…深い意味はないから…」



説得力もないような私のか細い声に、瑠衣斗がいぶかしく見つめる。



魅惑的なその表情に、みとれてしまう程色気を感じた。



「ふう〜…ん」