身支度を整えて、みんなの待つ部屋までの廊下を歩く。
まだ火照る体に、外からの空気が心地よい。
部屋に近付けば近付く程、異様な室内の静かさに違和感を覚えた。
「ただいま…?」
「お帰り」
そっと扉を開け、ゆっくりと部屋の中を覗くと、のんびりとした瑠衣斗の声が出迎えてくれる。
煌々と光を放つ室内灯が、静がだった部屋の中の理由を教えてくれた。
「2人とも、風呂上がってから速攻寝ちまった」
「へ〜…本当に龍雅も疲れてたんだ」
相変わらず、自由過ぎる酷い寝相に、苦笑いしてしまう程だ。
部屋まで入ってしまい、宗太と龍雅の寝顔を近くで見比べてみる。
「子供みたいに寝るね」
ふわふわの髪と、寝顔まで優しい宗太と、対照的に黙っていれば寝ていても格好良いと思ってしまう龍雅。
「龍雅…特定の彼女、ちゃんと作ればいいのにね」
「モテねえ訳じゃないのにな。まあ…同じ理由なら、宗太にも言えるな」
いつも、女の子女の子言ってる龍雅だって、それなりに女の子と遊んでいる事ぐらい知っている。
ただ、特定の彼女が居ないだけ……。
ましてや宗太なんて、本気で彼女なんて欲しいと思っていないようで、今まで2人共、きちんとした彼女を作ったためしがなかった。
そうすると、瑠衣斗にも言えるような気もしたが、あえて言葉にする事はできなかった。
やっぱり私には、男心が分からなさすぎるな……。
「まあ…その内、落ち着くだろう」
テーブルに置いてあったミネラルウォーターを、瑠衣斗が一口飲む。
それをそのまま私に向けるので、反射的に受け取った。
「恋愛は、個人の自由だしな」

