「はあ…無駄に疲れた」
「おい〜るぅ〜、教えろよ〜」
「龍雅くどい」
乗り込んだ車内では、家に着くまでずっと、私と瑠衣斗の馴れ初め話の聞き出しで終わった。
でも決して、私も瑠衣斗も口を割ることはなかったのだった。
そこにおばさんとおじさんまで参戦してしまったりで、話題が逸れるどころか盛り上がってしまう落ちで終わる。
逃げ場のない私は、すがるような気持ちで、ももちゃんの頭を撫でまくった。
こういった場合、止めに入ってくれるであろう宗太でさえも、終始苦笑いするだけで、おばさんとおじさん相手には口を挟めなかったのだろう。
それでもみんなは、私と瑠衣斗が付き合う事になった事実には、何だか嬉しそうに感じた私は、とても穏やかな気持ちに包まれていた。
ようやく帰路に着き、玄関に入る。
そんな事で、何だか開放感に包まれた私は、そこで体の気怠い感覚に息を吐く。
なんだかんだ疲れた…。
今日は早く寝よう。
そう思いながらひとまず居間まで入った所で、私の携帯が慌ただしく着信を知らせ、何の気なしにディスプレイを覗く。
「…あっ、美春だ」
「おっ、何か久々に聞く気がするな。その名前」
宗太のそんなのんびりとした言葉を受けながら、私は通話ボタンを押して携帯を耳に当てる。
何だか嬉しくて、自然と笑みが零れるのが分かる。
「もしもし?美春?」
「ももお〜!!!!元気?元気?そっちはどお〜!?」
漏れてしまう程の元気な美春の声に、周りに居る瑠衣斗達まで笑う。
ますますパワーアップした美春は、こっちに来たら一体どうなってしまうのだろうか。

