いちえ





「るいたこさんみたい!!ももばいばい!!」



「えっ…あ、バイバイ!!」



思った事を思ったままに口にする素直さに、びっくりさせられてしまう。


それができなくなるのが、大人になると言う事なのか。



さっきまで離れそうにもなかった隼人君が、笑顔で私に手を振ると、由良さんに駆け寄る。


そんな事ないはずなのに、私にはその姿が、一瞬小悪魔に見えた。



「じゃあね〜ももちゃん♪あ、私には遠慮なく何でも相談してね?うふっ」



「は…はい…ありがとうございます」



語尾になるにつれ、消え入りそうになる私の声。


隼人君を抱き上げた由良さんは、やっぱり眩しい程の笑顔を私に向けてくれる。



「じゃーな隼人!!」



「また遊ぼーな〜」



龍雅と宗太の声に、嬉しそうに笑う隼人君が、元気よく手を振る。


おばさんとおじさんも、由良さんと隼人君を見送り、終始穏やかな時間ができ、少しだけ気持ちが誤魔化されたようだった。



まだ沢山人が居る中、みんなに挨拶をしてその場を後にした由良さんも、きっと街の人気者なんだと言う事が安易に予想される。



「隼人可愛いなあ…俺子供欲しくなっちゃった」



「えっ!!宗ちゃん結婚願望あり!?」



「それはどうかな…でも子供はいいなあ」




男同士でも、そんな話するんだあ……。


なんてのんびり感心していると、ふと視線を感じて振り返ってみる。


ほんのりと頬を赤くした瑠衣斗がバッチリ私を見ていて、不意をつかれた私はピクリと異常に反応する羽目になった。