いちえ





宴もたけなわとなった所で、ようやくこの宴会も解散となった。


終始ドキドキとしていた私は、密かにホッとする。


たくさんの人達に一気に紹介される形になり、緊張の糸が常に張りつめていたようだ。



もちろん、紹介される事が嫌だった訳ではなく、私のせいで瑠衣斗のイメージを崩したくなかったから。


こんな子が?と、思われたくなかった。



それはただの自己満足なのかもしれないけれど。




「隼人、ももにバイバイは?」



「うん、ももばいばい!!」



小さな手でしっかりと瑠衣斗の手を握り締める姿に、頬が緩む。


キラキラとした笑顔を、惜しげもなく向ける隼人君に、私はすっかり虜になってしまったのかもしれない。



「隼人君、また一緒に遊んでくれる?」



隼人君の目線までしゃがみこみ、綺麗な瞳を覗き込んでみる。


瑠衣斗と同じ色をした色素の薄い瞳に、私が写り込む。



そんな私に対して、みとれてしまう程綺麗な瞳が、途端に細められた。



「あそぶー!!はーくんももとあそぶー!!」



「ホント?じゃあ、何して遊ぶか、隼人君考えておいてね?」



「うん!!わかったよ!!」




素直な反応に、私の頬はゆるみっぱなしだ。


思わず頭を撫でてみると、瑠衣斗の手から離れるようにして隼人君が私に抱きついてくる。


小さな手で、一生懸命に私に抱き付く隼人君に、やっぱり私は夢中にさせられてしまったようだ。



「ももすきー!!」



「私も好きだよ〜」




あぁ…可愛いっ。こんなに懐いてくれて、余計に可愛い。


何だか私の方が、離れがたい気持ちでいっぱいだった。