いろいろな場所から私と瑠衣斗の名前が飛び交い、うつむき加減のままチラチラと目を向ける。


瑠衣斗と付き合う事になって、まさかこんな事態になるだなんて、予想もしなかった。



「ほらっ、パパ!!写真!!写真撮って!!」



「う〜ん、まずはももちゃんだけを…」



「ちょっと瑠衣!!あんたこっち向きなさい!!」




連れてこられた猫のように、首もとを持ち上げられた瑠衣斗が、隼人君から顔を上げ、怪訝そうな視線をおばさんに向ける。


こうして見ると、やっぱりおばさんの子だなあ…と思う程、瑠衣斗はおばさん似だ。



「なんだようっせえな…」



「あんた!!お母さんに向かって何その言葉遣い!!」



おばさんも、おじさんも、きっといろいろな事を乗り越えてきたのだろう。


自分の子供が、自分よりも先に死んでしまうって、どんな気持ちだろうか。



私にはもちろん、子供なんていないから分からない。



こうして笑えるようになるまで、どんな思いをしてきたのだろう。



「…いつもじゃん?」



「本当に生意気になったわね」




そんな瑠衣斗とおばさんを、楽しそうに写真に収めていくおじさん。


写真が趣味だった自分の父親と、何故かその姿が被ってしまう。


レンズの向こうにある、その穏やかなおじさんの顔と同じように、穏やかな顔をしてシャッターを切っていた父。



お父さんは、どんな気持ちで私を見ていたの?



賑やかな空間の中、私だけ違う空間に居るような感覚に陥る。


それは何とも不思議な感覚で、決して嫌な物ではなかった。


でも何故か少し、切ない物でもあった。