『あなたは、ずーっと誰よりも、自分よりも、ももちゃんが大切で大好きで、このまま結婚しなかったらどうしようかと思っていたわ』


確かに…愛してる!!なんて何度言われたやら。


でもきっと、こんな私に、美春は素直な気持ちを言葉にしていたのだろう。


『いつまでも、ももちゃんから卒業できる見込みはなさそうだけど、あんまり俊ちゃんに焼き餅妬かせちゃダメよ』



私の気持ちを代弁してくれたようなセリフに、苦笑いしてしまう。


本当に、よく美春の事をよく見ているんだな……。


羨ましいような、何だか切ないような、胸が疼くような感覚が全身を支配する。



美春のお母さんを見ていると、段々と切なさに潰されてしまうようだ。


『でも…俊ちゃんといつまでも仲良しでいてね。……それから…ももちゃん』


「………へ」



突然名前を呼ばれた事に、反応がすぐにできず気の抜けたような返事をしてしまった。


見つめる先には、私に顔を向けた美春のお母さんと、バッチリと目が合う。


『あなたは…沢山泣いて、沢山笑いなさい。こんな事…今言う事ではないけど、……』



言葉を止めた美春のお母さんに、じっと顔を向けた。


固まってしまったように動けないまま、周りの視線にも臆する事もなかった。


『ももちゃんの家族は、いつもあなたの幸せを願っていたのよ。そして…今も願ってるわよ』


「………」



頭を鈍器か何かに殴られたような衝撃が走った。



……私の…幸せ?


家族……?