いちえ





経緯を見守る私に、ふと視線が向けられる。


思わず見つめ返してみると、そこには私と変わらないくらいの年齢の、ちょっと雰囲気のある人達。


えっと…るぅの…お友達?




「ももちゃんか〜。瑠衣とタメ?」



「あっ…はい」



一見すると、土建屋さんのような出で立ちの人が、ニコニコと私に向かって笑いかける。


周りの人達も、そんな様子にとても穏やかだ。



「あの瑠衣がねえ〜。どんな子かと思えば」



しみじみと言う彼は、髪を全て後ろに流し、黒いタンクトップにゴワゴワとしたジーパン。ぱっと見た感じではいかにも…な雰囲気を醸し出している。


でも、こうしてじっくり見てみると、瑠衣斗や龍雅、その辺と引けを取らないくらい顔のパーツが整っていて、驚くほどの美形男子だ。




「おい大輔。どーゆう意味だ」



「ん〜?お袋がお前に会ったっつーから、ちょ〜っとだけ話聞いただけ」



大輔…?どっかで聞いた事あるような。


ふと考えた所で、すぐに行き当たる。


由良さんのお店ので会ったおばさんだ!!



「そっかあ…おばさんの息子さんだ…」



まさか会えるなんて思ってもいなかった私は、感動する気持ちが素直に口からこぼれていた。


そんな私に気付いた大輔さんが、その美形フェイスを向ける。



「瑠衣じゃなくて、俺ともっと早く会ってればなあ〜」



わはは、と笑う大輔さんに、きっとおばさんは紹介の話をしたんだと、安易に予想できた。



「ってウッソー。嘘、嘘、まじで嘘!!おい睨むな。まじでこえーし、おい!!睨むなって!!てめ…殴るなよ!?まじでお前に殴られるといてぇんだよ!!」



苦笑いする大輔さんが、慌ててそう否定する姿が不思議で、瑠衣斗を見上げてみた。


その顔は、本当に、とーっても怖くて、……橋田先生の言う通り本当に般若のようでした。