いちえ





「うん、同じ名前なの」



「おんなじなまえ?」



「そう。私も、ももなの」



パチパチと瞬きを繰り返した隼人君が、何かに気付いたように目を見開く。


素直なその表情に、私の心は簡単に虜にさせられたようだ。


今まで、散々緊張してドギマギしていた事なんて、あっという間にチャラにさせられてしまった。



「おねえちゃん、ももなのぉ?」



パアッとする満面の笑顔で、私を見つめる瑠衣斗と同じ色の瞳。



るぅもちっちゃい頃は、こんな感じだったのかなあ……。



ぼんやりとそんな事を考えていると、しゃがみ込んでいた瑠衣斗が私の顔を覗き込む。



目の前の同じ色をした瞳に、ますます私の妄想が膨らむ。



「由良の子供。隼人はめちゃくちゃ人見知りが激しいんだ」



由良さんにお子さんが居る事は聞いていたが、こうして合うのは初めてだ。



先ほどの、おずおずと私に挨拶をした姿に、警戒していた事も伺える。



「はーくん、ももすき!!」



ニコニコと笑う笑顔まで、瑠衣斗に被ってしまう。


無邪気に笑う隼人君が、小さな両手で私の左手を握り締める。



「そうなんだ。ももちゃんとは仲良し?」



「なかよし!!はーくんおさんぽもするんだよ!!」



「そっかあ、隼人君お利口さんだね!!」



私もこんな子欲しいなあ。そう言えば、美春もだいぶお腹目立ってきたし、楽しみだな。



温かい気持ちが胸一杯に広がり、自然と頬が緩んだ。