いちえ





長く延びた廊下を、案内されるまま後に続く。


一体どんな人物がやって来るのだろうと、そんな事を考えて肩身を縮ませてしまう程、とっても場違いな私。



「私も後から混ざっちゃお〜♪」


「…働けよ」



雑談を交わす2人に、私が混ざる余裕なんてない。


ドキドキする鼓動を抑える事もできず、ハラハラと成り行きに身を任せるしか術はなさそうだ。



「あ、ごめんなさいね。私は瑠衣の後輩に当たる息子の、お母さんです」



「へっ…あ、は、初めまして!!ゆ、唯ノ瀬ももです…」



「田所です。よろしくね、ももちゃん」



ふんわりと笑顔を向けてくれた田所さんに、思わず肩の力を抜いた。



るぅの後輩かあ…うん、やっぱり不良なのかな。



それにしても、本当にるぅって顔が広いなあ……。



「みんなお待ちかねよ〜?」



「俺らはコンパニオンか何かか」



み…みんな?みんなって、誰!?私、ここに来て良かったの!?



内心慌てる私に、気付かない瑠衣斗が私の手を握り締める。



これじゃあ、逃げれない……。

って、私逃げるつもりだったのか。



「瑠衣はおまけよ、おーまーけ♪」



「激しく不愉快だ」




私は激しく動揺してるけどね。


何も知らされてない上に、意味の分からない2人の会話に、どうやら私も関係しているらしい事は、分かった。


でも……。



「頑張ってね!!ももちゃん!!」



頑張る理由は、果てしなくもっと分からなかった。