2人で並んで家路に着く頃には、辺りはすっかり紅く空を染め、そこに紺色の空をグラデーションしている。


「ただいま〜…って誰もいねー」



「おばさん達、本当に働き者だね」



玄関を上がっても、しんと静まり返った家の中は、人の気配もなく誰も居ない事を表している。


いつもなら真っ先に迎えてくれるももちゃんも居なくて、賑やかな声も聞こえてこない。


「好きでやってるみたいだからな。ある意味羨ましい」



瑠衣斗が言うように、本当に楽しんでやっているのだろう。


もう暗くなってきているので、部屋の灯りをつけながら進む瑠衣斗は、ひとまず居間へと向かうので、私も後に続いた。



居間に入り、瑠衣斗が電気を付けると、視線をテーブルへと落とした瑠衣斗がピタリと動きを止める。



…ん?なんだろ…。



瑠衣斗の視線の先を追うと、何やらテーブルにメモが置かれている。


じっと動きを止めたままの瑠衣斗の表情が、だんだんと歪む。


「え…なに?どうしたの?」



近寄って視線をメモに向けると同時に、瑠衣斗がメモを取り私に手渡す。


見事に刻まれた眉間の皺に首を傾げながら、手渡されたそのメモに目を落とした。



「…ん?え?」



書かれていた内容に、今度は私が眉を寄せる番だ。


と言っても、私には内容がいまいち把握できず、思わず瑠衣斗を見上げた。



対照的に嫌そうな顔をする瑠衣斗に、思わず怯みそうになる。


多分、今日一番の睨み……不機嫌そうな顔。



「あのぉ〜…コレ…?」




おずおずとそう聞いてみると、瑠衣斗は不機嫌そうな顔のまま私に目を向け、大きく溜め息を吐きながら視線を逸らす。



「とりあえず、行くか」




「…行く??」