だって、何か触りたくなっちゃったんだもん。
でも、やっぱり…。
「そんなにメンチ切らないでよ」
「………」
様になってると言うか何と言うか。
そんな顔にまでときめいてしまったり。
私って、多分物凄く空気読んでないよね。
「ももさ…」
「…え?」
呆れたように言う瑠衣斗を、私はおずおずと見上げる。
眉間から離していた私の指先を、私の手ごと包み込むようにして瑠衣斗が掴む。
私は一体、瑠衣斗のどんなスイッチを押したのだろうか。
「突発的な行動が意味不明すぎる」
クスっと笑った瑠衣斗が、可笑しそうに肩を揺らす。
そんな姿に、私はグッと息をのみ、頬がほんのり熱くなっていくのを感じた。
それはまるで、鈴を転がすような笑い方で、思わず見とれてしまう程だ。
「俺にいつもそんな事すんの、ももだけだ」
掴まれていた手をほぐされ、瑠衣斗がそのまま自分の頬に添える。
高鳴る鼓動を、止める術なんて瑠衣斗を前に思いつかない。
それどころか、まるで故障でもしてしまったようで、この故障は治まる事なんて知らないようだ。
柔らかく笑う瑠衣斗に、優しく見つめられる。
触れた瑠衣斗の頬は、ホッとするように温かい。
「本当に…ももには適わないな」
近付いてくる瑠衣斗の顔に、私は完全に動けなくなった。
なんでこんなに…色っぽいの。
見とれてしまうその妖艶さに、私は完全にフリーズしたまま瑠衣斗の唇を受け止めた。
柔らかな感触に、頭の芯がしびれたようだった。

