「…なんか緊張するの」
「緊張?なんで?」
不思議そうな顔で上から見下ろす瑠衣斗に、クラクラする。
なんだろ…やっぱり慶兄とるぅは兄弟なだけあって、自覚のないこの甘さは遺伝的なものなのかな……。
これだけ長い時間一緒に居て、今更そんな事を思ってみたり。
それに、るぅの優しさって、本当に分かりにくい優しさだったり、…まあ優しいには違いないんだけど、それが普通だった…と言うか…。
「ねえ、だから何が」
何も言おうともしない私を、瑠衣斗が不機嫌そうに顔をしかめて見つめる。
眉間に寄せられた皺の深さがまだ浅いので、まだまだ大丈夫そうだ。
って、何だか眉間の皺の深さがバロメーターみたいな役割だ。
そんな(失礼な)事を考えている内に、何だか気持ちもほぐれてくる。
自分の意識ではないようにそっと持ち上げた私の指に、ピクリと視線を向けた瑠衣斗か、そのまま動きを止める。
「…………」
「…………」
思わず、衝動に駆られるようにしてつついてみたくなり、人差し指で瑠衣斗の眉間を押してみた。
瑠衣斗が何も言わないので、遠慮なくチョンと眉間をつつき、観察する。
でもその眉間の皺は、薄くなるどころか益々深くなっていく。
「……あ、ごめんつい」
ハッとし、じっと見つめていた瑠衣斗の眉間から、その下にある鋭く細められた瞳が、私を射抜くようだ。
あれ!?もしかして私、ついつい自ら地雷を踏みに行くような事しちゃった!?
「おい。俺の眉間にはスイッチでもあるのか」
「…ふ」
もしかしなくても、踏んだみたい。
てゆーか、衝動的すぎて自分でも驚いた。

