いちえ




何だかやたらハッキリと発せられた瑠衣斗の声にお構いなく、私は言うなら今しかないと言葉を続ける。


「どっ…どうすればいいか…分かんないし…」



もう、瑠衣斗の顔なんて見れない。


捕まえた瑠衣斗の手を、ギュッと握りしめた。


きっと、私の心臓の鼓動は、直接瑠衣斗の手のひらに伝わっているだろう。


「めちゃくちゃ…がっ…ガッカリ…させ…そ……」



もう、語尾になるにつれて小さくなっていく言葉に、瑠衣斗に聞こえてるかなんて関係なかった。


恥ずかしすぎて頭から湯気でも出ている気分だ。

いや、きっと出てる。



「えと…も、もも?」



戸惑うような瑠衣斗の声に、何となくもう既にガッカリさせてしまったような気がして、泣きたくなる。


こっそりと伺うつもりで上げた視線に、バッチリと瑠衣斗と目があってしまう。


何だかビックリしているような、照れてる…?ような、何とも言えない表情。



「あぁ〜〜もう!!」


「!?」



突然ギュッと抱きしめられて、驚きすぎて声も出せなかった。


訳も分からずにされるがままになっていると、すぐ耳元に瑠衣斗の声が響く。


「お前…本当に初めて…なのか」


「だっ…だから…そう言ってるじゃん」



何度も言わせないでほしい…恥ずかしいし虚しいから。



「え〜…っとお、その〜…だなあ、」


「……?」



よく分からない瑠衣斗の態度に、疑問が浮かぶ。


何だろう……。


全く見当の付かない私は、瞬きを繰り返した。