いちえ




「―っ!!う…待ってる…っ」



何が起きたか分かった私は、慌てて離れようと腕を突っ張る。


離れようとしても、背中に回された腕には適わず、頭が少しだけ離れた隙に、首筋へと瑠衣斗が顔を埋め、再び引き寄せられる。



「あ…んんっ…」



熱い瑠衣斗の唇が、舌が、私の首筋を撫でていく。


私の小さな抵抗なんて虚しいもので、気が付くと力一杯瑠衣斗の服の袖を握り込む事ぐらいだ。


骨の芯まで食べられてしまうような、そんな気になってくる。


体の奥から何か熱い物が生まれ、息が上がる。


もう十分すぎる程、私の首筋を愛撫する唇に、私は目をうっすらと開く事しかできない。



ようやく顔を上げた瑠衣斗は、熱を持った瞳で私を捉える。


見たことのない瑠衣斗に、体の奥に生まれた熱い物が、更に熱を増す。



そっと瞼を閉じた瑠衣斗が、優しく私の唇に触れ、啄むようなキスを何度も落とす。


先を急かすように唇を丹念に舌でなぞられ、うっすらと唇を開けると、待ちきれなかったかのように熱くて甘い舌が私の唇をこじ開ける。


「ふ…ん、んっ」



逃げる私の舌を追いかけるようにして絡み取ると、激しくも優しく舌を撫でる。


背中から撫でるように、瑠衣斗の手のひらが直接私の胸に触れた瞬間、瑠衣斗の手を止めるように私は自分の手を重ねた。



「…怖い?」



そんな私の様子に気付いた瑠衣斗が、唇を離さないまま囁くように呟く。


声を出すのも億劫にさせられ、そして今から言う事を躊躇したものの、私は絞り出すようにして声を出す。



「わ、私…その…あのね?…初めて……だ…から…その…」



「………え」