私が一番聞きたかった事。
瑠衣斗との約束……。
話によると、順番がかなり前後してしまったみたいだけれど。
「るぅ…私、思い出せない。思い出せそうになると、何か…すごく体が拒否するみたいで…」
「うん、いい。また約束すればいい」
そう言って、額を離した瑠衣斗の顔が、今度こそしっかりと分かる。
愛おしそうに見つめる瑠衣斗の瞳に、本当に今私を捕らえているという事に胸が喜びに震える。
眩しそうに目を細めた瑠衣斗は、私を確かめるように頬を撫でた。
「泣きたい時は泣けばいい。俺がずっと傍にいるから………。俺は、お前が泣ける場所になってやりてえ」
何かが鮮明に、目の前に蘇るようだ。
目の前に、大きな夕日が見える。
甘く爽やかな香りが鼻を掠めて濃く香る。
夕立のような突然の雨が降り出すと、私は温かい温もりの中に居た。
これは…私がひとりぼっちになって、まだ数日と経っていない。
スッポリと記憶が抜け落ちていて、私はどう過ごしたのかさえ覚えがない。
ただ無心に、大きな夕日を見つめていた。
感じる温もりが誰の物なのか、私は知る由もなかった。
現実の物ではなく、同じ夢を繰り返し見ているものだと思っていた。
その記憶が、繋がる―――。
そっと腕を緩めた人物が、私の顔を覗き込む。
「……るぅ…」
頬に残る筋が、キラキラと夕日を受けて輝いて、こんなに綺麗な物が、この世の中にはあるんだと初めて知ったんだ。
「泣いたの…?」
眉を寄せた瑠衣斗が、口を噤み、私を眩しそうに見つめていた。

