いちえ




グッと言葉を飲み込んだ瑠衣斗は、私の顔を見つめると、大きく溜め息を吐いた。



何だろ。そんなに私って呆れるような事言った?



意味も分からずに瑠衣斗を見つめていると、その瞳にポカンとした間抜けな私が映り込むのが見える。


部屋が薄暗いものだから、少し濃く見える色素の薄い瞳に、オレンジ色の照明が映り込んでキラキラと光り、それが潤んでいるように見える。



「ホントによ〜、無防備すぎなんだよ」


「無防備…?」



訳の分からない私を余所に、瑠衣斗の腕が私を引き寄せる。


コツンと額を合わせられると、目を伏せている瑠衣斗が、近すぎてピントが会わず、ぼんやりと見える。



まだまだ聞きたい事、話したい事が沢山ある。

でも、そんな事は完全に吹っ飛んでしまい、私は自分の鼓動に息苦しくなってしまう。



口を開くのも億劫で、ドキドキしすぎて頭に血が上るのが分かる。


全身が心臓にでもなってしまったような、そんな気持ちになる。



「いきなり…好きとか反則だろう」



ポツリと言う瑠衣斗に対し、今度こそ私は恥ずかしさで目眩がしそう。


私自身、まさかこのタイミングで、しかも口が滑ってしまったようなモノだったから、物凄く驚いてもいる。



「でも……」



それっきり、言葉を噤んでしまった瑠衣斗を不思議に思い、ハッキリと表情が伺えない瑠衣斗を見つめた。


私の髪に指を絡ませ、弄ぶ仕草まで私をときめかせる。


「ももが約束を思い出すまで、俺は気持ち伝えるつもりなんてなかった。だから…めちゃくちゃ嬉しい」