「…え?」
何の事かさっぱりと分からない私は、そんな事を言った由良さんに目を向ける。
ふわっと笑って見せる由良さんに、私は言葉を待った。
「いつもなら、一目散に瑠衣に駆け寄ってっちゃうし、片時もそばから離れないんだよ〜」
「おっ。何だるぅ振られたのか」
「振られたって…こいつこんな名前だけど男だし……」
「ぎゃはは!!寂しい奴だなるぅは!!!!」
私は、宗太の言葉にひきつるように答える瑠衣斗に少し吹き出しかけ、更に続いた龍雅の言葉に、遂に吹き出した。
広々とした部屋は、綺麗に手入れされている畳の部屋で、襖を隔ててまた隣には部屋があるようだ。
庭側の襖は開かれており、普通の人では手入れできないような庭園が見え、どこぞの旅館と勘違いしてしまいそうだ。
冷房が入っていないのに、窓から入る風だけで涼しい。
むしろ、ひんやりとしている程だ。
雑談を交わしていると、ふと由良さんの視線が私に向けられる。
「ねえねえ、ももちゃんってめちゃくちゃ可愛い〜。てゆーか綺麗だね!!モデルか何かやってるの?モテるでしょお〜?てゆーかてゆーか!!彼氏居ないの?」
矢繋ぎにそう言われ、更に言われた事に対して圧倒されてしまい、何から答えたらいいのだろうか。
その前に、恥ずかしさで顔が熱くなるのが分かる程だ。
「なっ、なっ、と…とんでもないです!!全部ハズレですっ。いっ…言い過ぎですっ」
「え?彼氏居ないの!?」
「は、はい……いません…」
由良さん…いくら何でも褒めすぎでしょう。
そんな事言ったら、また龍雅がうるさいだけなんですよ……。
そんな私の気持ちとは裏腹に、由良さんが再び口を開けた。

