いちえ




「スッゴい美人……」


うっとりするような龍雅の声に、顔を向けた。


ぽわんとした龍雅の表情に、呆れる。


本当に、節操のない友人でこっちが恥ずかしいよ。


「あらっ、嬉しい〜ありがとう。あ、私こいつの姉の由良。よろしくね」



「初めましてー!!僕の名前は龍雅です!!!!」



元気よく挨拶する事はいいんだけど、ちょっとは私を心配してくれてもいいのでは……。


「よろしくね〜。疲れてないの?元気ねえ!!」


「宗太です。こいつは食って騒いでただけなんで」


「きゃーんかわいいっ。弟にしたい!!」



由良さんは、瑠衣斗や慶兄と似てなんともサバザバとしていて、親しみやすい感じがする。


ショートがよく似合っていて、くりっとした瞳は色素が薄く、唇は綺麗なピンク色だ。目を向けられると、思わずドキリとする。


目鼻立ちのとても整った、スタイルの良い美人さんだ。




本当に……美男美女だなぁ。



先ほどまで私に馬乗りにしていた、“ももちゃん”は、今は瑠衣斗の傍らでおとなしくお座りしている。


間違いなく、立ち上がると私と変わらない気がする。


「ささ、こんな所じゃなんだし、中に入ろ」


「あ、すみません」



由良さんに手を貸してもらいながら立ち上がると、瑠衣斗がふと私の元へとやって来た。



「怪我ねえ?」


「え?あ、うん大丈夫」



服に付いてしまった砂を払ってくれながら、怪我がないかを見てくれている。


そんな様子を、目のクリクリとさせた“ももちゃん”が舌を出して見上げている。




うん……仲良くしてもらわなきゃ。