山道を抜けてしばらくすると、段々と民家も増え、車も増えてきたようだ。
観光地らしい看板が目に入り、所々に温泉のマークも目に付く。
野山が広がり、大きな門構えの家も転々とあり、その家々の裏はすぐに山だったりする。
大きな川が、山の中腹から町を割るようにして流れていた。
畑や田んぼなどが広々と広がり、軽トラが整地されていないような農道に停まっている。
「すげえ……のどか」
「あれるぅの親戚!?」
宗太は良しとして、龍雅はあからさまに瑠衣斗をからかっているだろう。
「つーかさあ、今更だけど、こんなとこ来て何すんだよ……」
独り言のようにも聞こえる瑠衣斗の言葉に、逆に、るぅは何してたんだろう?と好奇心が生まれる。
「俺は釣りだな」
「仲居さんとランデブー!!!!」
はあ〜…と、盛大な溜め息を吐き出した瑠衣斗は、そのまま順調に車を進めた。
段々と、旅館や民宿が増えてきて、先ほどまでの畑や田んぼはほとんどなくなってしまった。
街のいたる所では、温泉街らしく大きな白い湯気が上がり、川も流れている事もあってなんとも風流な風景だ。
観光客もたくさん居て、とても賑やかな街並みだ。
「まぢでるぅの地元!?人は見かけによらねえなー!!」
「龍雅は見たまんまだけどな〜」

